日本臨床外科学会雑誌
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症例
偽性アカラシアを呈した胃癌術後下部食道壁内転移の1例
松本 倫矢野 文章坪井 一人石橋 由朗小村 伸朗矢永 勝彦
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キーワード: pseudoachalasia, 胃癌
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1223-1229

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抄録

症例は60歳台,女性.2007年8月,他院にて胃癌に対し幽門側胃切除+D2リンパ節郭清を施行されている.2012年3月頃より嚥下困難が出現し,アカラシアの疑いにて当院紹介となった.食道内圧検査で同期性収縮を認め,アカラシアの診断に矛盾しない所見であったが,食道造影検査にて通常の一次性食道アカラシアと比較して先細り像が長く,さらに胸部CT検査にて食道壁が肥厚しており,偽性アカラシアを強く疑った.そのため,開腹にて手術を施行した.横隔膜脚から下部食道にかけて瘢痕組織を認め,術中迅速病理診断にて低分化型腺癌が検出された.以上より,本症例は胃癌術後下部食道壁内転移により発症した偽性アカラシアと診断し,下部食道切除+残胃全摘を施行した.術後経過良好で第14病日に退院となった.術後10カ月が経過したが,嚥下困難は改善し,他院にて化学療法中である.

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© 2014 日本臨床外科学会
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