抄録
症例:69歳,男性.30歳時に十二指腸潰瘍に対し広範胃切除,Billroth I法(以下B-I)再建の既往がある.咽頭部違和感を主訴に近医受診し,上部消化管内視鏡で胃十二指腸吻合部の肛門側に8mm大の潰瘍性病変を認めた.生検で癌を否定できないという結果であった.確定診断に至らなかったが,十分なインフォームドコンセントを得た上で外科的切除を行う方針とした.深達度予測は粘膜内であり局所切除で十分と考えた.手術:吻合部を含む胃十二指腸部分切除を施行し,Roux-en-Y(以下R-Y)再建を行った.病理検査結果は深達度m,高分化型管状腺癌であり早期十二指腸癌と診断した.考察:十二指腸癌は稀な腫瘍であり,治療方針は確立されていない.また,胃切除後の十二指腸癌切除例の報告はさらに少ない.今回,胃切除・B-I再建後に十二指腸癌を早期発見し局所切除で根治切除しえた症例を経験したので文献的考察を加え報告する.