日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下手術が有用であったイレウスで発症した原発性小腸癌の1例
田上 創一町田 水穂佐近 雅宏関 仁誌林 賢宗像 康博
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2014 年 75 巻 5 号 p. 1301-1307

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抄録

患者は手術歴のない69歳,男性.半年前から続く上腹部痛・背部痛と嘔吐を主訴に受診した.腹部CT検査でイレウスと診断,イレウス管留置して減圧を行った.内ヘルニアの可能性も示唆されたため,準緊急で腹腔鏡下手術を行った.索状物や内ヘルニアは認めず,Treitz靱帯から30cmの空腸に漿膜面に露出した腫瘍病変を認めた.周囲の腸間膜を含めた空腸部分切除を行った.病理診断では高分化腺癌で,深達度ss,n0,組織学的病期はStage IIであった.原発性小腸癌は稀な疾患である.初発症状は様々で非特異的なうえ,診断方法や治療法に一定の見解がない.イレウスで発症した小腸癌に対して,診断および治療に腹腔鏡が有用であったので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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