抄録
症例は72歳,女性.総胆管結石にて治療中,外来のCT検査にて内視鏡的逆行性胆道ドレナージステント(endoscopic retrograde biliary drainage stent:以下,ERBD stentと略す)が逸脱し回腸末端に存在していることが判明した.逸脱発覚後9日目に37.7度の発熱と下腹部痛が出現し入院した.下部消化管内視鏡検査にてERBD stentがS状結腸憩室に嵌頓していた.内視鏡下にstentの抜去が可能であったが,抜去後に腹痛が増悪し,S状結腸憩室穿孔による腹膜炎が生じた.保存的治療が困難と判断し緊急手術を施行した.手術はS状結腸憩室穿孔部位の楔状切除術,単純閉鎖術を施行した.Stent留置に伴う合併症はしばしば経験されるが,逸脱したstentが原因で消化管穿孔をきたした症例はまれであるため報告する.