日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的治療後15日目で再出血を起こした遅発性脾破裂の1例
沖 豊和福留 惟行金川 俊哉秋森 豊一上岡 教人花崎 和弘
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キーワード: 遅発性脾破裂, 外傷, TAE
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2014 年 75 巻 6 号 p. 1678-1683

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抄録

症例は60歳女性で交通事故による受傷で当院を受診.CTでは右被殻の軽度出血と脾損傷(日本外傷学会脾損傷分類IIIa型)を認めた.入院の直前になって収縮期血圧が50台まで低下.急速補液を行いながらCTの再検査を行ったが脾周囲の血腫増大なく,血液検査でも貧血の進行は認めなかった.入院後は保存的治療を行い,経過順調であったが入院15日目に腹痛と呼吸苦が出現.血圧低下と意識レベルの低下,血液検査での貧血の進行も認めたのでCTを行ったところ,脾周囲の血腫増大を認め遅発性の再出血と診断.血管造影を行い脾動脈の仮性動脈瘤からの出血を認めた.脾下極動脈より塞栓を行い仮性動脈瘤への血流と脾外へ造影剤が漏出していないことを確認した.全身状態は少しずつ改善し入院43日目に退院した.

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© 2014 日本臨床外科学会
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