2014 年 75 巻 6 号 p. 1702-1706
症例は85歳,男性.糖尿病治療中,スクリーニングで施行された腹部CT検査において多発性肝嚢胞と診断された.内科で経過観察されていたが,嚢胞の増大と腹痛を認めたため,手術目的に外科転科となった.腹腔鏡下に肝嚢胞開窓術が施行されたが,嚢胞壁の病理組織検査で腎細胞癌の肝転移と診断された.患者は22年前に腎癌で右腎摘出手術を受けており,病理組織学的検査においてこの腎癌の再発と考えられた.腎細胞癌は晩期再発をきたしやすい腫瘍であるが,術後20年以上を経て再発することは稀であり,また,嚢胞状肝転移も稀な転移様式であるため,文献的考察を含め報告する.