2014 年 75 巻 7 号 p. 1807-1812
乳癌術後に乳糜漏を認め,保存的加療にて軽快した2症例を経験したので報告する.
症例1:52歳,女性.前医にて左乳房の浸潤性乳管癌と診断され,当科を紹介受診された.乳房部分切除術+腋窩郭清を施行した.第1病日に留置ドレーンから白濁色の排液を300ml認め,乳糜漏と診断した.第7病日より絶食,中心静脈栄養を開始した.その後,排液は淡血性に変化し,第25病日にドレーンを抜去し,退院とした.
症例2:63歳,女性.2012年7月頃から左乳房に腫瘤を自覚し,当科を受診された.精査にて浸潤性乳管癌と診断し,乳房部分切除術+腋窩郭清を施行した.第2病日にドレーンから白濁色の排液を680ml認め,乳糜漏と診断した.食事摂取は中止せずに経過観察を行ったところ,ドレーン排液量は漸減し,第10病日にドレーンを抜去し退院とした.
乳癌術後の乳糜漏は稀な合併症であり,文献的考察を加えて報告する.