2014 年 75 巻 7 号 p. 1818-1823
症例は56歳,女性.1987年,他院で左乳癌に対し乳房切除,腋窩郭清を施行された.病理診断は浸潤性乳管癌で,術後タモキシフェンを2年内服.1997年,胸部単純レントゲンにて右肺結節影を指摘され当院呼吸器外科にて右上葉切除施行.病理学的には乳癌肺転移と診断された.術後は経過観察のみで10年間再発所見なく経過した.2011年,労作時呼吸苦が出現し当院耳鼻科にて喉頭鏡を施行.下咽頭に腫瘤が認められ,声帯麻痺を伴ったため,気管切開を施行.精査にて乳癌の下咽頭・左頸部リンパ節転移(ER陽性,PgR陽性,HER2陰性)と診断.アロマターゼ阻害薬投与にて転移巣は縮小し,現在も外来通院中である.