抄録
症例は80歳の男性で,既往歴は24歳時に胃潰瘍で胃切除術,42歳時に脊髄動静脈奇形で手術を受け,その後,下半身不全麻痺と膀胱直腸障害がある.今回,発熱と腹痛を主訴に受診し入院した.腹部CTで骨盤部に長径7cm大の造影される充実性腫瘍を認め,小腸GISTが疑われた.小腸造影検査施行後からイレウスとなり,保存的治療で改善がないため手術を施行した.虫垂先端が回盲弁の高さの上行結腸に癒着し,輪状のバンドとなり回腸末端から20cmの回腸がループ状に入り込み,そこに虫垂炎が加わったことによって絞扼され拡張していた.虫垂切除術により絞扼は解除され,腸管壊死もなかった.また,小腸GISTに対して回腸部分切除術を施行した.本症例は虫垂がバンドとなり回腸を絞扼したイレウスで,本邦報告例は少ない.しかも,今までの報告例の全例は粘液嚢腫を背景にしており,虫垂炎を背景にしたものはなく非常にまれな症例であった.