抄録
近年,単孔式腹腔鏡下手術が胆嚢摘出術を初めとする腹部外科手術において,安全性と有効性が認められてきているが,肝切除においては報告例が少ない.そこで,当科で施行した単孔式腹腔鏡下肝切除術(Single-port Laparoscopic Hepatectomy:SLAP-H)10例(肝細胞癌6例を含む)にて,その安全性と有用性を検討した.SLAP-H選択の適応として,腫瘍が肝の足側に存在し,約3分の1以上表面に突出,長径が3cm以下,単発と設定した.結果としては,追加ニードルを挿入せず,臍周囲に挿入する一つのポートのみでSLAP-Hを施行したが,施行した10例全例(高度肝予備能低下例も含む)において合併症なく安全に施行可能であった.術後1カ月目における経過観察においても,創痛・肝機能悪化はいずれの症例も認められなかった.これらの結果から,症例を適当に選択することにより高度肝機能低下症例においても,SLAP-Hは安全に施行可能と考えられた.