日本臨床外科学会雑誌
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症例
甲状腺内副甲状腺腺腫の1例
和久 利彦園部 宏
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2114-2119

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抄録

症例は64歳,男性.近医で以前から高カルシウム血症を指摘されていたが,intact-PTHの高値を認め当院内分泌外科へ紹介となった.頸部超音波検査では甲状腺両葉の上極あるいは下極の背側に腫瘤はなく,甲状腺右葉内に,上極より1.7cm,下極より1.2cmの内部均一で低エコーな腫瘤を認めた.MIBIシンチグラム検査では甲状腺右葉にのみ結節状の集積がわずかに認められた.甲状腺腫瘤が副甲状腺腺腫の可能性があると考え甲状腺右葉切除のみを行った.甲状腺右葉上極よりの結節は濾胞上皮の密な増生よりなるものであり,下極よりの結節は境界明瞭で,好酸性上皮よりなる濾胞の密な増生を示した.ともに濾胞状構造を示し,甲状腺組織との鑑別が困難であったのでPTH・TTF-1・Tgの免疫染色を行ったが,上極よりの結節はPTH陽性,TTF-1・Tg陰性,下極よりの結節はPTH陰性,TTF-1・Tg陽性で,それぞれ甲状腺内副甲状腺腺腫,甲状腺好酸性細胞型濾胞腺腫と最終診断した.

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