日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳房温存術後に発生した放射線誘発性乳房血管肉腫の1例
轟木 秀一島田 和生堤 宣翁古賀 孝臣
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2014 年 75 巻 8 号 p. 2125-2129

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抄録

乳房温存術後に発生した放射線誘発性の乳房血管肉腫の1例を経験した.症例は53歳女性,左乳頭部の痛みと皮下出血斑を主訴に受診した.7年前に左乳癌にて乳房温存術と残存乳房への放射線照射を受けていた.左乳房の皮膚は肥厚硬化しており,超音波検査にて乳頭直下に小さな低エコーが散在,MRIで辺縁不整な濃染域を認めた.最終的に摘出生検にて続発性血管肉腫と診断された.乳房切除を行ったが早期に局所再発をきたしたため再手術(広範切除)を施行した.術後,補助療法としてパクリタキセルを投与したが,4カ月後に骨転移が出現したため,パゾパニブに変更,これも4カ月後に無効となり治療を中止した.放射線誘発性の続発性血管肉腫は乳房温存療法後の症例にとって,稀ではあるが重大な晩期合併症として認識する必要がある.

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© 2014 日本臨床外科学会
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