抄録
症例は72歳の女性で,身長150cm,体重88kg,BMI 39.1と高度の肥満があり,糖尿病・高血圧で近医通院中であった.2010年10月,胃癌に対して幽門側胃切除術を施行し,術後10日で退院した.術後28日目からS-1内服による術後補助化学療法を開始した.術後31日目に咳き込み後から急に腹痛が出現し当院救急外来を受診した.腹部CTで腹壁瘢痕ヘルニア・腹水貯留・遊離ガスを認めたため腹壁瘢痕ヘルニアとそれに伴う小腸穿孔と診断し手術を施行した.術中,ヘルニア門に癒着した小腸が3/4周断裂していたため小腸部分切除術を施行した.本症例は肥満と咳き込みによる急激な腹圧上昇により腹壁瘢痕ヘルニアを形成し,この際に創部腹壁に癒着していた小腸が同時に断裂したもので,今までにこのような症例の報告は無く,非常にまれと思われた.