抄録
症例は86歳の男性で,3日前から持続する食欲不振と嘔吐のため,当院を受診した.受診時に腹部は全体に膨隆し,右下腹部に軽度の圧痛を認めた.腹部CTで腸液が貯留して拡張した小腸を腹部全体に認め,右下腹部に狭窄機転があるイレウスの診断とした.脱水により全身状態が悪く,絞扼所見を認めなかったため,まず保存的治療を行った.胃管を挿入したが腹部の状態が改善せず,第2病日にイレウス管を挿入した.全身状態は改善し,排液量も減少したが,第9病日のイレウス管造影では小腸の鏡面像が持続していたため,第11病日に手術を施行した.手術所見は,盲腸尾側の裂孔から盲腸の背側へ回腸が嵌頓しており,盲腸後窩ヘルニアと診断した.嵌頓を解除すると,腸管の血色は良好であった.裂孔を縫合閉鎖した.術後の経過は良好で,現在も再燃所見を認めていない.盲腸後窩ヘルニアについて文献的考察を加えて報告する.