日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内に発生した繊維形成性繊維芽腫の1例
入江 彰一南村 圭亮園田 洋史平田 泰小林 隆森 正也
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2014 年 75 巻 9 号 p. 2580-2583

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抄録

症例は48歳の男性.生来健康であったが,健診で腹部腫瘤を指摘された.CT検査にて,腹腔内に腸間膜から連続するようにみえる充実性腫瘤(125×83×114mm)を認めた.経過観察中,7カ月で(193×83×181mm)と増大傾向を認め,悪性腫瘍の可能性を考え,切除術を施行した.S状結腸間膜から連続する表面平滑,弾性硬な巨大腫瘤を認めた.辺縁動脈を巻き込んでいたため腫瘤摘出およびS状結腸部分切除を行った.病理組織所見で繊維形成性繊維芽腫と診断した.繊維形成性繊維芽腫は,主に深部皮下組織・筋膜・腱膜・骨格筋より発生する稀な線維性腫瘍であり,腹腔内では胃原発の報告があるのみで,腸間膜から発生した報告例は本邦では認められなかった.今回,われわれは極めて稀な腸間膜由来の繊維形成性繊維芽腫を経験したため,若干の文献的考察も含め報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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