日本臨床外科学会雑誌
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症例
盲腸が嵌頓したRichter型大腿ヘルニアの1例
須藤 翔冨田 広
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2015 年 76 巻 1 号 p. 141-145

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抄録

盲腸がRichter型に嵌頓した稀な大腿ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性.右鼠径部の膨隆と疼痛を自覚し,発症翌日に当科を受診した.右鼠径靱帯尾側に径3cmの膨隆を認め,CT検査所見から右大腿ヘルニア嵌頓と診断したが,腸閉塞所見は認めなかった.鼠径法で緊急手術を施行した.ヘルニア嚢内には大網とRichter型に嵌頓した盲腸を認め,盲腸壁の壊死が疑われた.下腹部正中切開を追加し盲腸を部分切除した後,鼠径部創からPROLENE Hernia Systemを用いたtension-free法を施行した.術後に正中創感染を認めたが,鼠径部創感染やメッシュ感染は認めず,術後20病日目に退院した.本症例のように腸閉塞を伴わないRichter型ヘルニアでは,早期診断が困難な場合がある.腸管切除を伴う大腿ヘルニア嵌頓症例に対するメッシュ使用の可否に関しては,更なる検討が必要である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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