抄録
症例は62歳の女性.右乳房と右腋窩にいずれも約10cm大で皮膚浸潤を有する腫瘤を主訴に来院した.腫瘤の針生検にて乳頭腺管癌,ER陰性,PgR陰性,HER2陽性と診断された.CT検査で左副腎に5cm径の転移が認められた.FEC療法4サイクルに続き,トラスツズマブ・パクリタキセル併用療法を12週行い,原発巣・腋窩リンパ節・副腎転移巣はいずれも縮小した.ラパチニブ・カペシタビン併用療法を4サイクル施行してさらに縮小がみられたため,右乳房切除術および腋窩リンパ郭清を行った.術後,ラパチニブ・カペシタビン併用療法を3サイクル継続したところ,左副腎は正常大となりCRと判断した.さらに同療法を4サイクル施行後,摘出した遺残腫瘍がER陽性であったためレトロゾール単剤投与に変更して,CR達成後二年半CRを維持している.