日本臨床外科学会雑誌
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症例
救命した感染性大動脈瘤破裂・食道穿孔の1例
山崎 康小澤 壯治數野 暁人小熊 潤也志村 信一郎
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2015 年 76 巻 1 号 p. 21-25

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抄録

症例は58歳の女性.2012年7月中旬に腹痛,嘔吐を認め近医を受診した.血液検査所見では炎症反応の上昇を認め,上部消化管内視鏡検査では食道に壁外性の圧排による内腔狭窄を認めた.CT検査では下行大動脈からの後縦隔血腫と診断され,精査加療目的に当院転院搬送となった.当院での精査の結果,胸部仮性大動脈瘤破裂の診断となり,緊急手術を施行した.術中所見では下行大動脈に8mm大の穿孔部を認めた.穿孔部を切除すると食道との間に血栓および膿瘍を認め,食道への穿孔部を視認できた.感染性大動脈瘤破裂・食道穿孔の術中診断となり,下行大動脈人工血管置換,食道縫縮術を施行した.術後第9病日に食道縫縮部位の縫合不全と診断し胸部食道切除,頸部食道瘻・胃瘻造設術を施行した.再手術後,胸腔内の持続洗浄を施行し,第51病日に退院となった.初回手術から11カ月後に胸壁前経路頸部食道胃管吻合術を施行し,現在外来通院中である.

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