日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
敗血症とDICを合併した非穿孔性急性虫垂炎の1例
横山 靖彦山本 佳生佐藤 崇中島 裕一橘 球内田 正昭
著者情報
キーワード: 敗血症, DIC, 非穿孔性虫垂炎
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 10 号 p. 2466-2470

詳細
抄録

症例は39歳,男性.下腹部痛,嘔気を主訴に当院を受診.初診時,右下腹部に限局して圧痛を認めたが,明らかな腹膜刺激症状や筋性防御は認めなかった.腹部単純CTで虫垂の腫大を認め,急性虫垂炎と診断した.微小石灰化を認めたが,腹水や膿瘍の所見は認めず,保存的に加療した.入院後1日目は腹部所見,血液生化学検査所見ともに改善を認めたが,2日目に40℃の高熱,ショック状態となり,虫垂穿孔による腹膜炎と敗血症性ショックを疑い緊急手術を施行した.術中所見では虫垂の穿孔,腹水は認めなかった.術後,昇圧剤や抗生剤などの集学的治療で全身状態は改善し,術後14日目に退院となった.病理組織診断は壊疽性虫垂炎で虫垂に明らかな穿孔は認めなかった.血液培養からはPeptostreptococcus prevotiiが検出された.敗血症とDICを合併した非穿孔性急性虫垂炎の報告は稀であり,若干の文献的考察を含め報告する.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top