日本臨床外科学会雑誌
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症例
IPMNが併存した多形細胞型退形成膵癌の1例
安川 大貴京極 高久住井 敦彦長井 和之伊丹 淳橋本 公夫
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2015 年 76 巻 10 号 p. 2538-2543

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抄録

退形成膵癌は浸潤性膵管癌の1亜型とされ,膵管癌の中では稀な組織型である.また,膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasms,以下IPMN)は膵癌の前駆病変としてだけでなく,通常型膵癌を併存することが知られているが,退形成膵癌を併存した報告は少ない.今回,IPMNに退形成膵癌を併存した1例を経験したので報告する.症例は61歳,女性.心窩部痛を主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に2型腫瘤を認め,造影CT検査で胃体後壁から膵体尾部,脾臓にかけての巨大腫瘤を認めた.膵脾浸潤を伴う胃癌と術前診断し,左上腹部内臓全摘出術を施行したが,術後の病理組織学検査では,胃脾浸潤を伴う多形細胞型退形成膵癌とIPMN(膵管内乳頭粘液性腺癌)の併存と診断された.

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