日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
成人Nuck管水腫に対する腹腔鏡下ヘルニア手術の経験
藤原 一郎松崎 太郎菅野 兼史
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2015 年 76 巻 11 号 p. 2635-2639

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抄録

成人Nuck管水腫の多くは鼠径ヘルニアと診断され,鼠径部切開法による水腫摘出や鼠径ヘルニア手術が行われ腹腔鏡を用いた治療はこれまでほとんど報告されていない.われわれは,成人Nuck管水腫7例に対し腹腔鏡手術を行った.症例の平均年齢は46歳(24~83歳),患部は右側が4例,左側が3例,視触診上の鼠径患部の膨隆の大きさは平均3cm(2~5cm),画像検査での水腫の大きさは最大径の平均は2.4cm(1~3cm)であった.下腹部正中の3ポートによるtotal extraperitoneal laparoscopic hernia repair(TEP法)にて水腫の摘出とBARD Soft Mesh®によるヘルニア門の修復を行った.平均手術時間は97分(85~119分).水腫や腹膜の剥離は通常の鼠径ヘルニアと同様に比較的容易であった.この術式は有用であると考え,その手技を報告する.

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