2015 年 76 巻 11 号 p. 2628-2634
近年,腹壁瘢痕ヘルニアに対して再発率減少のため,人工物を用いたtension-free repairが主流となっている.人工物の留置部位として,腹腔内に留置する方法は腸管癒着や腸管損傷の可能性が危惧され,また,ヘルニア門が恥骨にかかる場合,十分な修復が困難になる.そのような理由から,当科では2005年4月より,meshを腹膜前腔に留置して修復するpreperitoneal mesh repair(以下,PMR法)を導入した.2005年4月から2014年4月までに施行した,PMR法60例について検討した.結果,手術時間は中央値100分,再発2例(3.3%),創感染を1例認めたが,mesh感染は認めなかった.その他合併症を7例に認めたが,いずれも保存的に軽快した.
腹壁瘢痕ヘルニアに対するPMR法は有用な方法であり,腹壁瘢痕ヘルニア修復術の第一選択術になりうると考えられた.