抄録
症例は77歳,女性.C型肝硬変を背景とした肝S6の肝細胞癌に対して外科治療目的に当科に紹介された.解離性胸腹部大動脈瘤の偽腔開存に伴う線溶亢進型の播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation;以下DIC)の状態であった.出血時間の延長も認めたため,DICに対して術前にメシル酸ナファモスタット投与による抗線溶療法を開始した.治療により凝固異常の改善を認めたため手術可能と判断し,抗線溶療法継続下に開腹下肝部分切除術を施行した.術後も抗線溶療法を継続し,周術期を通して出血性合併症や血栓性合併症を認めず,経過良好で退院した.凝固系マーカーをモニターしながら抗線溶療法を施行することで,安全な外科手術が可能であった.