症例は71歳,男性.腹痛を主訴に紹介医を受診し,腫瘍による閉塞性膵炎の診断で入院となった.ERCP施行時にVater乳頭より活動性の出血を認めたため,精査目的に当院に紹介となった.画像では膵頭部に30mm大の多血性腫瘤を認めた.貧血の進行があり,下膵十二指腸動脈に対して塞栓術を施行した.以上,膵癌疑いにて膵頭十二指腸切除,リンパ節郭清D2を施行した.切除標本の肉眼所見は4.2×2.3×2.0cmの嚢胞性腫瘤を認めた.病理組織検査では,背景は分枝膵管型IPMNから構成されていた.膵管および膵実質に浸潤する乳頭状腺癌,繊維肉腫様の細胞を認めた.以上より,分枝膵管型IPMN内に発生した膵癌肉腫と診断した.非常に稀な膵癌肉腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を含めて報告する.