日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した膿瘍形成を伴う成人回腸腸管重複症の1例
野村 明芳芦沢 直樹磯野 忠大寺本 祐記橘 充弘上村 和康
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キーワード: 腸管重複症, 腹腔鏡, 膿瘍
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2015 年 76 巻 12 号 p. 2999-3003

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抄録

症例は62歳,男性.右側腹部痛を主訴に近医を受診し,急性虫垂炎の診断で点滴治療が開始されたが改善なく,当院へ紹介となった.腹部所見は右下腹部の限局した圧痛を認めたが,平坦・軟であった.腹部CTでは右下腹部に脂肪織濃度上昇を伴った40mm大の腫瘤影を認め,虫垂と小腸が不明瞭に接していた.急性穿孔性虫垂炎,あるいは膿瘍形成を伴ったMeckel憩室穿孔と診断し,同日緊急腹腔鏡下手術を施行した.観察すると,回腸末端から約50cm口側に膿瘍と重複腸管を認め,それらとともに小腸部分切除術・虫垂切除術を施行した.病理組織学的検査では重複腸管は管状で正常腸管と非交通性であり,異所性胃粘膜を認めなかった.そして,穿孔部は腸間膜対側にみられ,そこから膿瘍形成をきたしていることがわかった.以上より,回腸腸管重複症と診断された.今回,腹腔鏡下に治療しえた膿瘍形成を伴う回腸腸管重複症を経験したため報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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