日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断し腹腔鏡下に摘出した副脾梗塞の1例
河島 毅之野口 琢矢柴田 浩平藤富 豊宮本 伸二
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キーワード: 副脾, 梗塞, 腹腔鏡手術
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2015 年 76 巻 12 号 p. 3059-3063

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抄録

症例は44歳,女性.突然の左側腹部痛と,3日後の発熱・嘔気を主訴に近医を受診し,腸炎の疑いで当院へ紹介された.腹部造影CTにて左側腹部に5cm大の低吸収腫瘤と,その頭側に脾動脈から連続する索状構造物を認めた.4年前の虫垂炎手術時のCTでは,腫瘤・索状構造物ともに造影効果を有しており,栄養血管が捻転し腫瘤が虚血に陥っているものと考えられた.副脾梗塞と診断し,腹腔鏡下に緊急手術を施行した.左中腹部に大網に包まれた暗赤色の副脾が認められた.周囲を剥離して捻転した栄養血管を切離し摘出した.術後経過は良好で 4日目に退院した.
大網原発の副脾は固定されていないため,4cm以上になると栄養血管が捻転し梗塞に至ることがある.今回われわれは,術前に副脾梗塞と診断し,腹腔鏡下摘出術を施行した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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