日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
3D-CTAが腹腔鏡下摘出術に有用であった骨盤内後腹膜Castleman病の1例
木下 浩一大越 香江小林 克敏
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 12 号 p. 3064-3068

詳細
抄録

症例は51歳の男性で,前医にて偶然右骨盤内腫瘤を指摘され,紹介された.腹部造影CT検査では,腫瘍径は66×48mmで,外腸骨静脈を内側後方より圧排していた.Three-dimensional CT angiography(3D-CTA)では,血流は後方より内腸骨動脈から内腸骨静脈に還流し,流出静脈の増生が目立つ腫瘍であった.右腸骨動脈域リンパ節が散在し,悪性を否定できない間葉系腫瘍が疑われ,診断的治療目的で腹腔鏡手術を施行した.腫瘍は,術前画像診断の通り内外腸骨動脈間に存在し,境界明瞭であった.右外腸骨静脈との癒着を認めたが剥離可能であり,後方の栄養血管を処理し腫瘍を摘出した.病理組織学的にはCastleman病(CD),hyaline-vascular typeであった.骨盤内後腹膜のCDは非常に稀であるが,術前3D-CTA画像診断により,腹腔鏡下に安全に摘出できた.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top