日本臨床外科学会雑誌
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症例
下肢屈曲による整復後に待機手術を施行した閉鎖孔ヘルニア嵌頓の1例
川野 雄一郎有永 信哉
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2015 年 76 巻 12 号 p. 3069-3073

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抄録

症例は81歳,女性.下腹部痛・嘔吐にて当院救急外来受診,腹部CTにて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞と診断され入院となった.発症後,約4時間程度であり,腹部所見・血液検査所見から腸管壊死は起こしていないと考え,非観血的整復を行った.仰臥位にて患側である左脚をゆっくりと数回,屈曲させた.さらに,そのまま左脚を外側へ回旋,内側に内転させる下肢屈曲法により整復すると,腹部症状は急激に改善した.再度CTを施行し嵌頓腸管が整復されていることを確認,2日後に待機的に手術を施行.鼠径法にてメッシュを用いた左閉鎖孔ヘルニア修復術を施行した.術後経過良好であり第9病日に退院となった.閉鎖孔ヘルニア嵌頓は合併症を多く持つ高齢女性に多く発症する疾患と言われている.リスクの高い緊急手術の回避に下肢屈曲による非観血的整復は有用であると考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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