日本臨床外科学会雑誌
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症例
急速な転帰をたどり術後30日目に死亡した乳腺紡錘細胞癌の1例
稲石 貴弘柴田 有宏森本 大士野村 尚弘高瀬 恒信矢口 豊久
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キーワード: 乳腺紡錘細胞癌, 予後
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2015 年 76 巻 2 号 p. 245-249

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抄録

症例は83歳の女性.2週間前より右乳房に有痛性腫瘤を自覚し当院を受診した.術前診断は浸潤性乳管癌T2N0M0,Stage IIAであり,右乳房切除術およびセンチネルリンパ節生検を施行した.最終的に病理組織学的検査で乳腺紡錘細胞癌,ER 0,PgR 0,HER2 score 0,Ki-67 labeling index 30~40%と診断された.本人・家族ともに術後補助療法は希望しなかった.術後7日目に退院したが,術後18日目に倦怠感を主訴に再診した.造影CT検査で多発肺転移,肝転移およびリンパ節転移を認めた.急速に増悪し術後30日目に死亡した.乳腺紡錘細胞癌は浸潤癌の特殊型に分類される稀な腫瘍であり,予後に関して一定の見解が得られていない.急速な転帰をたどった乳腺紡錘細胞癌の1例を経験したので報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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