日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
リンパ節転移を契機に発見された小腸カルチノイドの1例
森松 克哉空閑 啓高品川 裕治堤 宣翁
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 4 号 p. 789-792

詳細
抄録

症例は81歳,男性.貧血の精査目的に入院した際に施行した腹部CTで小腸に接する40mm大の腫瘤を指摘された.小腸透視では中部小腸に粘膜下腫瘍様の隆起を認め,圧迫像で腫瘤近傍の小腸を壁外から圧排する像が認められた.壁外に発育した小腸GISTの術前診断で腹腔鏡補助下小腸切除術を行うこととした.術中所見では腸間膜内に術前に指摘された腫瘤を認め,近傍の小腸に別の腫瘍性病変を触知した.腸間膜リンパ節転移を伴う小腸腫瘍と診断し腹腔鏡補助下小腸切除術,所属リンパ節郭清を施行した.病理診断は腸間膜内リンパ節転移を伴う14mmの小腸カルチノイドであった.
小腸カルチノイドは,自験例のようにリンパ節転移を契機として発見される症例が多く報告されている.過去の文献でもリンパ節転移を高頻度に認めると報告されており,遠隔転移を認めない症例に対しては,リンパ節郭清を含めた外科的根治術を施行することが望ましいと考えられた.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top