日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性虫垂炎の術後に腹壁壊死と腸管穿孔をきたした赤痢アメーバ感染の1例
竹ノ谷 隆平田 泰小林 隆南村 圭亮真船 健一森 正也
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2015 年 76 巻 4 号 p. 797-802

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抄録

症例は53歳,女性.発熱,下腹部痛を主訴に受診した.急性虫垂炎・腹腔内膿瘍の診断で,虫垂切除術・膿瘍ドレナージ術を施行した.術後ドレーンより膿性排液が続き,遺残膿瘍の診断で第10病日に洗浄ドレナージ術を施行したが,感染は進行し皮下膿瘍から腹壁壊死,さらにS状結腸穿通をきたし,第31病日にS状結腸切除術・回盲部切除術を施行した.抗生剤加療および局所洗浄を継続したが感染コントロールが困難を極め,腹壁欠損部より露出した回結腸吻合部が穿孔をきたし,第59病日に穿孔部閉鎖術・腹壁デブリードマンを施行した.切除した皮下組織の病理組織学的診断でアメーバ虫体が認められ,赤痢アメーバ感染と診断した.メトロニダゾール投与後,感染は消退し,肉芽による腹壁の閉鎖が得られ,第189病日に退院した.虫垂炎術後に発症し,感染コントロールに難渋したが,確定診断後の治療が著効した赤痢アメーバ感染の稀な1例を経験したので報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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