日本臨床外科学会雑誌
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症例
人工肛門造設を行ったミトコンドリア脳筋症に伴う慢性偽性腸閉塞の1例
笹原 正寛横山 裕之村上 弘城神崎 章之望月 能成谷口 健次
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1069-1074

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抄録

症例は67歳,女性.以前より,ミトコンドリア脳筋症と診断されていた.嘔吐を伴う心窩部痛と右側腹部痛があり,当科へ紹介となった.CT検査で脾弯曲寄りの下行結腸から口側大腸の著明な拡張像を認め,同部位の腫瘍性病変による大腸腸閉塞を疑い,緊急で人工肛門造設術を施行した.術後に行った大腸内視鏡検査では,腫瘍などの明らかな閉塞機転となる原因は認めず,その後の経過で小腸の拡張は認められなかったことから,ミトコンドリア脳筋症を基礎疾患とした続発性の慢性偽性腸閉塞の大腸限局型と診断した.慢性偽性腸閉塞症は小腸が罹患していることが多く,その治療は薬物治療や栄養療法,腸管減圧が中心であるが,大腸限局型の場合には結腸亜全摘やバイパス手術など外科的切除が有効であるとされている.慢性的な腸閉塞症状を認める患者に対しては慢性偽性腸閉塞症を念頭に置き,その罹患部位や患者の状態によって治療方針を決定することが重要と思われた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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