日本臨床外科学会雑誌
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症例
先天性胆道拡張症術後に発生した肝門部胆管癌の1例
北口 和彦高橋 進一郎小林 達伺加藤 祐一郎後藤田 直人小西 大
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2015 年 76 巻 5 号 p. 1176-1181

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抄録

症例は20歳台の女性.約3年前に先天性胆道拡張症(戸谷IV-A型),膵・胆管合流異常(新古味分類I a)に対して,分流手術を施行.経過観察目的の画像検査にて拡張した右肝管内に腫瘍性病変を指摘され,当院紹介となった.小腸内視鏡にて残存した拡張胆管内に腫瘍を認め,生検にて腺癌との診断を得た.肝門部領域胆管癌の診断にて,門脈塞栓術を施行の上,肝右葉尾状葉切除,胆道再建術を施行した.切除標本では,二つの隆起性病変を認め,いずれの病変も乳頭状構造を呈する腺癌と診断された.先天性胆道拡張症は高率に胆管癌を発生することが知られており,分流手術が標準的治療法とされているが,近年,分流手術後に肝内胆管・肝管・膵内胆管から癌が発生した症例の報告が散見される.肝内胆管の拡張を伴う先天性胆道拡張症への至適な術式について,今後の検討が必要と考えられた.

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