抄録
症例は72歳,女性.他疾患の精査を契機に骨盤内腫瘍を指摘され当科紹介となった.腹部骨盤CT検査では,骨盤内左側に45mm大の充実性腫瘤を認め,強い造影効果を伴っており多血性の間葉系腫瘍を疑い,診断と治療を目的に外科切除の方針とした.術中の出血量減少目的に術前TAEを施行し,2日後に手術を施行した.出血量420gで完全切除が可能であった.病理組織学的には,特定の配列を示さない紡錘形細胞の増生と間質への膠原線維の介在を認め,CD34が陽性であることから孤立性線維性腫瘍(solitary fibrous tumor;以下SFT)と診断した.SFTは中皮下の結合組織由来の稀な間葉系腫瘍であり,骨盤内発生はさらに稀である.稀少疾患である骨盤内SFTに対する術前TAEの有効性は確立されていないものの,本症例の経験から考慮すべき選択肢の一つと考えられる.