抄録
症例は96歳,女性.4年前より横隔膜ヘルニアを指摘されていたが,症状を認めないため治療を行っていなかった.食後の嘔吐が持続するため前医を受診し,経鼻胃管による減圧が行われたが,改善せず当科紹介となった.上部消化管内視鏡検査では胃体下部で閉塞を認め,スコープは通過しなかった.CTで横隔膜の裂孔より胃・十二指腸および大網,横行結腸が右胸腔内に脱出していた.ヘルニア門と食道裂孔との間には横隔膜組織の介在を認めた.以上より右横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断し,開腹手術を行った.胃・十二指腸・大網・横行結腸を腹腔内へ還納後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.術後,逆流性食道炎(ロサンゼルス分類B)を併発したが,保存的治療で軽快した.術後27日目に退院し,術後1年が経過した現在まで再発を認めていない.