日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸壁内迷入結石の1例
山本 将輝大森 一郎向田 秀則多幾山 渉
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キーワード: 胆石症, 胆嚢炎, 壁内結石
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2015 年 76 巻 7 号 p. 1695-1700

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抄録
症例は54歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診し胆嚢炎の診断にて当科紹介となった.腹部CT検査にて胆嚢内,また胆嚢外にも高吸収結節を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸球部に隆起性病変を認めた.超音波内視鏡検査では,壁内にacoustic shadowを伴う高エコー野を認めたため,十二指腸壁内の結石が疑われた.胆石胆嚢炎および胆嚢十二指腸瘻を伴う十二指腸壁内の結石と診断し,手術を行ったが,術中所見では,胆嚢と十二指腸の間に瘻孔は形成されておらず,胆嚢摘出術および十二指腸壁内の結石核出術を施行した.結石成分分析では,十二指腸壁内の結石と胆嚢結石の組成は類似しており,胆石が総胆管を経由して十二指腸壁内へ嵌入し,十二指腸粘膜に覆われる場合も考えられた.今回,われわれは極めて稀な十二指腸壁内迷入結石の1例を経験したので報告する.
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© 2015 日本臨床外科学会
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