抄録
症例は79歳,女性.18年前に直腸癌に対して腹会陰式直腸切断術を施行され,術後経過中に腹壁瘢痕ヘルニアおよび傍ストーマヘルニアを認めていた.2014年5月に突然の腹痛が出現したため救急外来を受診した.腹部造影CT検査では腹部正中に腹壁瘢痕ヘルニアを認め,脱出腸管が軽度に肥厚していた.また,ストーマ近傍にも腸管の脱出を認めており,ヘルニア嵌頓と診断した.用手的還納が可能であり,腸管の虚血性変化を認めなかったため,後日,ヘルニア修復術を施行した.腹腔鏡下手術を施行し,両ヘルニアに対してParietexTM Optimized Composite Meshを用いて同時修復を行った.術後再発は認めていない.