2015 年 76 巻 8 号 p. 1885-1889
症例は66歳,男性.9年前に胸部食道癌で右開胸食道切除胸骨後経路胃管再建術が施行された.約2カ月前より咳嗽・痰を自覚していた.その後,一旦咳の症状は改善したが,呼吸苦出現したため,心不全疑いで当院内科を受診後,胃管潰瘍穿孔と診断され同日当科に紹介される.手術は上腹部正中切開,胸骨縦切開で開始した.胃管周囲には壊死組織が大量にあり胃管後壁に潰瘍を認め,同部が心嚢に穿通していた.胃管を心嚢から剥離,切除し,食道断端は食道瘻とした.初回手術から111病日に胸壁前経路Roux-en Y再建・血管吻合付加による二次的な食道再建術を施行した.術後経過は良好で再建手術から第21病日に退院した.本症例のように胃管潰瘍心嚢穿通をきたした症例に二期手術を行い救命しえた報告は少ないため報告する.