日本臨床外科学会雑誌
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症例
急速増大した胃脾間膜原発腹腔内デスモイド腫瘍の1例
谷 道夫川村 秀樹柴崎 晋本間 重紀高橋 典彦武冨 紹信
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2015 年 76 巻 8 号 p. 1890-1895

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抄録

デスモイド腫瘍は一般的には緩徐な増大傾向を示すといわれるが,今回われわれは,急速増大した胃脾間膜原発腹腔内デスモイド腫瘍の1例を経験したので報告する.症例は54歳の男性.近医でCT上胃体部大弯側に2cm大の円形腫瘤が認められ,1年後のCTで10cm強にまで増大したため当科紹介.精査にて胃固有筋層由来の腫瘍が疑われ,腹腔鏡および用手補助下に腫瘍切除,脾摘出術が施行された.病理組織所見では,腫瘍は異型に乏しい紡錘形の細胞と膠原線維の増生を認め,胃脾間膜と連続していた.免疫染色でc-kit(-),desmin(-),S-100(-),β-catenin(+)の所見を呈し胃脾間膜原発デスモイド腫瘍と診断した.術後1年9カ月現在,無再発経過中である.腹腔内デスモイドは術前診断が困難なことが多いが,急速増大することもあることを念頭に置く必要があると考えられた.

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© 2015 日本臨床外科学会
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