抄録
症例は58歳の男性.以前から部分内臓逆位を指摘されていた.貧血の精査目的に当院受診し,上部消化管内視鏡で胃体中部前壁に出血性潰瘍を認めたため,クリップ止血した.その際,胃体上部小彎寄りに0-IIc型病変も指摘され,生検で低分化腺癌の診断であった.CTでは胃・脾・膵が右に位置しており,肝は左右対称,胆嚢・Treitz靱帯は正常位置であった.遠隔転移や明らかなリンパ節転移を認めず,cT1b,cN0,cM0,Stage IAの術前診断で胃全摘(D1+),R-Y再建を施行した.術後の経過は良好で,13日目に退院した.病理結果はpor,pT3(SS),int,INFb,ly1,v1,pN0,Stage IIAであった.術後1年3カ月現在,無再発生存している.内臓逆位を伴う手術症例においては,脈管および各臓器の位置関係を把握するためにCTが特に有用であった.