日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
腺癌を発症した回腸重複腸管の1例
松本 哲高橋 周作高橋 昌宏久慈 麻里子山上 英樹石津 寛之
著者情報
キーワード: 重複腸管, 回腸, 腺癌
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 8 号 p. 1938-1941

詳細
抄録

症例は74歳,男性.10日前から下腹部痛が出現し,徐々に増悪してきたため,当院を受診.下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認め,採血では炎症反応の上昇を認めた.腹部造影CTでは骨盤腔に膿瘍形成を認め,緊急手術を施行した.回腸末端から約120cm口側に管状の重複腸管を認め,分岐した腸管が盲端で膿瘍を形成し,S状結腸との癒着を認めた.膿瘍を伴う回腸重複腸管と診断し,重複腸管を含めた小腸切除術を行った.病理検査では,重複腸管の盲端部に膿瘍形性を認め,盲端と膿瘍の間に腺癌を認めた.回腸に管状型に発生した重複腸管の癌化の症例は本邦第1例目であり,癌化を伴う回腸重複腸管で膿瘍を形成した症例としても本邦第1例目であり,極めて稀であるため症例報告する.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top