日本臨床外科学会雑誌
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症例
絞扼性イレウス解除術後に発症したBacillus cereus敗血症の1例
林谷 康生栗栖 佳宏赤木 真治湯浅 吉夫田中 智子
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2015 年 76 巻 8 号 p. 1933-1937

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抄録

症例は78歳,女性.虫垂切除術の既往あり.昼食摂取後から激しい下腹部痛が出現し当院救急外来を受診した.腹部造影CTで小腸のclosed loopと腸間膜の脂肪濃度上昇を認め,絞扼性イレウスと診断して緊急手術を行った.腹腔内には血性腹水が貯留し,小腸を絞扼していた索状物を切離すると腸管壁の色調は不良であったが辺縁動脈の拍動は良好で蠕動もあり,腸管切除は行わなかった.術後経過は良好で,術後6日目に食事を開始したが悪寒・戦慄を伴う発熱があり,血液培養でBacillus cereusが検出され,腹部症状はなく他に感染源を認めないことからbacterial traslocationと診断した.絶飲食とメロペネムの投与で軽快し,術後22日目に退院した.紋扼性イレウス解除術後には虚血性小腸炎による粘膜障害が起こることがあり,穿孔や狭窄に加えてBTの発症にも注意が必要である.

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© 2015 日本臨床外科学会
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