日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳癌直腸転移の1例
大山 正人山下 博成藤野 泰宏富永 正寛
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キーワード: 乳癌, 直腸転移
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2125-2129

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抄録

症例は47歳,女性.約5年前に他院で左乳癌にて乳房全摘,腋窩郭清を施行され,化学療法後に放射線療法を行い,経過観察されていた.今回,腹痛と腹部膨満を主訴に近医を受診し,CTで直腸腫瘍性イレウスと診断され,当院へ紹介となった.下部内視鏡検査ではRaに全周性の狭窄を認めたが,粘膜面に明らかな腫瘍性病変は認めず,EUS-FNAにて腺癌の検出を得た.CTではRaを中心に全周性の壁肥厚,周囲リンパ節腫大を認めたが明らかな遠隔転移はなかった.転移性直腸癌も考慮したが確定診断は得られず,イレウス状態であるため手術を施行した.術中所見では腹膜播種を認め,また後壁を中心に仙骨前面周囲までの腫瘍浸潤を認め,術中所見からHartmann手術を施行した.病理組織学的診断で乳癌直腸転移と診断した.乳癌の直腸転移は稀であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2015 日本臨床外科学会
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