抄録
症例は44歳の女性.頭部外傷による後遺症のため,高次機能障害を有していた.食事中の母親との口論をきっかけに興奮状態となり,鯛の煮付けを頭ごと摂取した後,咽頭違和感が出現,固形物の摂取が不能となり,3日後に当院を受診した.頸部軟線撮影およびCT検査によりL字型の魚骨が頸部食道右側を貫通していることが確認され,内視鏡下に抜去を試みたが可動性不良のため抜去不能と判断し,手術を行った.穿孔部位に膿瘍形成は認めなかったため,手術治療は異物の除去のみを目的として,甲状腺左葉を脱転し,穿通部対側の頸部食道左側を切開し魚骨を除去した後,切開部は1期縫合を行い,近傍にドレーンを留置した.摘出した魚骨は鯛の顎骨であった.術後はセファゾリンナトリウムを7日間投与.術後6日目より飲水,術後7日目より食事を開始し,術後8日目にドレーンを抜去.術後10日目に合併症なく退院となった.