日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
消化管穿孔をきたした血管内リンパ腫の1例
内藤 慶宮川 公治石原 陽介藤 信明
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 76 巻 9 号 p. 2201-2206

詳細
抄録

症例は76歳,女性.全身倦怠感と発熱を主訴に受診し,汎血球減少を認めたため入院となった.入院当初は骨髄異形成症候群およびそれに伴う感染症が疑われたが,治療抵抗性であり,徐々に意識状態や循環動態の悪化が進行した.血管炎症候群が疑われて施行したステロイドパルス療法にて一旦は症状の改善を認めたが,腹痛の出現とともに再び全身状態が悪化した.CT所見にて腹腔内free airおよび腹水の増量を認めたため,消化管穿孔の診断にて外科紹介となった.術中所見では限局性の小腸壊死穿孔を認め,切除標本の病理学的所見にて血管内リンパ腫と診断された.術後はICUにて重症管理を要したが,血管内リンパ腫に対し化学療法を施行することにより劇的に全身状態の改善を認め救命が可能となった.

著者関連情報
© 2015 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top