日本臨床外科学会雑誌
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症例
炎症性ポリポーシスにより回盲部に閉塞を生じたCrohn病の1例
酒井 靖夫田村 博史桑原 明史小海 秀央武者 信行坪野 俊広西倉 健
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2207-2213

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抄録

Crohn病の腸管粘膜に炎症性ポリープを生じることは少なくないが,通過障害の原因となることは稀である.炎症性ポリポーシスにより回盲部で閉塞をきたした1例を経験した.症例は49歳,男性.10年前発症のCrohn病で,腹痛を主訴に当院受診.大腸内視鏡で右結腸に炎症性ポリポーシスを認め,集塊のため回盲弁は確認できなかった.小腸造影では回盲部でほぼ閉塞し,腹部骨盤CT検査で回盲部に腫瘤陰影とその口側回腸の拡張を認めたため,腹腔鏡補助下右結腸切除術を施行した.切除標本では褐色調で細長い紐状ポリープが密生して,径11cmほどの全周性腫瘤を形成していた.組織学的にポリープは腺管蛇行を伴う再生上皮と,リンパ過形成を伴う炎症性間質からなる炎症性ポリポーシスで,巨細胞を伴う類上皮性肉芽腫が少数認められ,腫瘍性変化や異形成はなかった.塊状の炎症性ポリポーシスによる閉塞により外科的切除を要した稀な例と考えられた.

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