日本臨床外科学会雑誌
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症例
術中rendezvous法が有効であった総胆管結石を合併したLemmel症候群の1例
佐藤 悠太工藤 浩中村 香代子黒木 嘉人
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2015 年 76 巻 9 号 p. 2278-2283

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抄録

症例は77歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に当院を受診し,精査で傍十二指腸乳頭憩室が原因の胆管炎・閉塞性黄疸を認め,Lemmel症候群と診断した.ERCPを施行したが,2箇所の乳頭憩室により胆管挿管困難であった.保存的治療で軽快したが,患者は手術を希望されなかった.約11カ月後にLemmel症候群の再燃を認めた.抗生剤投与で軽快したが,退院約1カ月後に腹部不快を主訴に再度受診した.精査にて総胆管内に多発する結石の出現を認め,Lemmel症候群に合併して急性発症した総胆管結石症と診断し,手術加療目的に当科入院となった.乳頭機能不全が疑われたことより,術中rendezvous法を用いた内視鏡的乳頭括約筋切開術および内視鏡的総胆管結石除去術を施行した.多発総胆管結石を合併したLemmel症候群に対し,術中rendezvous法を用いたESTを施行して良好な経過が得られ,有効な手段となりえると考えられた.

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