抄録
乳癌に対する外科治療は縮小化の傾向にあり,腋窩リンパ節に関してはセンチネルリンパ節生検(SNB)が標準治療として行われ,センチネルリンパ節転移陰性の場合は腋窩郭清を省略することが標準治療として推奨されている.近年は,センチネルリンパ節転移陽性症例に対しても腋窩郭清を省略する臨床試験が行われ,腋窩郭清を行った群と非郭清の群の比較において腋窩リンパ節再発率・生存率ともに同等であることが報告された.この結果から,適切な基準に基づいて腋窩リンパ節郭清省略を考慮することができるようになった.また,術前化学療法後の症例では腋窩リンパ節郭清が標準治療であったが,センチネルリンパ節の同定率90%前後,偽陰性率10%程度であることが報告され,術前化学療法前に臨床的腋窩リンパ節転移陰性(N0)である症例では,細心の注意のもと腋窩郭清の省略が可能である.しかし,術前化学療法前にリンパ節転移陽性(N+)の場合には,SNBの偽陰性率が高く腋窩郭清が標準治療である.