日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆管癌との鑑別が困難であった軽度の腹部打撲による外傷性胆管狭窄の1例
中谷 充宏吉村 淳西脇 英敏
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2016 年 77 巻 1 号 p. 161-166

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抄録
症例は72歳,女性.2週間前に自転車走行中に転倒しハンドルで上腹部を打撲した.受傷直後は軽い上腹部痛を認めたが,翌日には消失していた.その後,褐色尿と皮膚黄染を認め,前医を受診し閉塞性黄疸が疑われ,当院内科受診となった.CT検査で肝内・肝外胆管の拡張を認め,総胆管の膵上縁レベルでの狭小と途絶を認めた.胆管狭窄による閉塞性黄疸の診断で緊急入院となり,経皮経肝胆管ドレナージが行われた.胆管狭窄の精査が行われたが胆管癌を否定できず当科紹介となり,膵頭十二指腸切除術が行われた.病理組織学的検査では,狭窄部の胆管粘膜は乳頭状に内腔に突出し,胆管周囲の線維化が強く認められた.悪性所見は認めずIgG4関連疾患も否定され,外傷性胆管狭窄と診断された.良性胆管狭窄は胆管癌との鑑別が重要であるが診断に難渋することも少なくない.自験例の様に軽度の外傷でも胆管狭窄が発症することもあり,若干の文献的考察を含め報告する.
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© 2016 日本臨床外科学会
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