抄録
乳腺筋上皮癌は極めてまれな疾患である.今回われわれは,乳腺腺筋上皮腫内に発生した乳腺筋上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は72歳の女性.2012年4月,左乳房C領域腫瘤を主訴に当科に紹介された.2.2cm大の充実性腫瘤で乳癌が否定できなかったため,針生検を施行.p63陽性の紡錘状細胞を確認し腺筋上皮腫を疑った.外来で経過観察したが,2014年1月に同腫瘤は4.3cm大に増大し,充実性領域のほかに嚢胞性領域を新たに認めた.充実性部分の針生検の病理診断は前回と同様であったが,悪性化の鑑別目的に全身麻酔下に腫瘍切除を施行した.充実性領域と嚢胞性領域が混在する5cm大の境界明瞭な腫瘍で,背景は腺筋上皮腫であったが,中央部に筋上皮由来を示す異型細胞の充実性領域があり,浸潤性・核分裂像・壊死像を認め,筋上皮癌と考えられた.外来で厳重に経過観察しているが,術後1年半の現在も再発兆候は認めていない.